夏の停電で最初にやることは、冷蔵庫の食品をクーラーボックスへ移すことではありません。
冷蔵庫と冷凍庫の扉を開けない。
これが正解です。
冷蔵庫の冷気は、停電した瞬間に消えるわけではありません。慌てて扉を開けると、残っている冷気を自分で逃がします。
停電直後、保冷時間、日本と米国の基準、復旧後の食品判断、備える3グッズを順番に整理します。
全食品を移す作業は、冷蔵庫を長く開けるため逆効果になることがあります。
ラッシー
停電直後は扉を開けない。保冷剤を移すなら1回で済ませる

- 扉を開けない:停電の範囲と復旧見込みをスマホやラジオで確認する
- 凍った保冷剤を上段へ:どうしても開ける時は1回で行い、冷蔵室の上へ置く
- 冷凍庫の隙間を減らす:凍った食品と保冷剤を寄せて冷気を保つ
冷気は上から下へ流れます。
警視庁は冷凍庫の食品を、メーカーは凍った保冷剤や凍らせたペットボトルを、冷蔵室の上段へ移す方法を案内しています。
冷凍食品を冷蔵室へ移す場合は、溶けた水で庫内がぬれないよう新聞紙やトレーを使います。
普段は冷蔵室を7割ほどにし、冷凍室は隙間を減らしておくと停電時の保冷に役立ちます。
冷蔵2〜3時間・冷凍48時間は基準と条件を分けて読む

停電後の保冷時間は、庫内温度、外気温、食品量、扉の開閉、機種、パッキンの状態で変わります。
| 目安 | 時間 | 前提 | 位置付け |
|---|---|---|---|
| 冷蔵室 | 約2〜3時間 | 十分に冷えていて扉を開けない | 日本メーカーの目安 |
| 冷蔵室 | 4時間 | 扉を閉めた状態 | 米国USDA/FDA基準 |
| 満杯の冷凍庫 | 約48時間 | 扉を閉めた状態 | 米国基準を参考 |
| 半分の冷凍庫 | 約24時間 | 扉を閉めた状態 | 米国基準を参考 |
ここで注意したいのは、2〜3時間が「その時間までは何を食べても安全」という意味ではないことです。
日本の家庭向け食中毒予防では、冷蔵庫10℃以下、冷凍庫−15℃以下の維持が基本です。農林水産省は冷蔵4℃前後、冷凍−18℃以下を適温として、温度計での確認を勧めています。
数字を暗記するより、冷蔵庫用温度計で実際の温度を記録する方が確実です。
復旧後は見た目と臭いで決めず、肉・魚・卵・乳製品から確認する

食中毒菌が増えても、色や臭いが変わらない食品があります。
「臭くないから大丈夫」「少し味見して確かめる」は使えません。
| 優先して確認 | 例 | 判断 |
|---|---|---|
| 生もの | 肉、魚、刺身、ひき肉 | 温度と経過時間が分からなければ食べない |
| 卵・乳製品 | 牛乳、卵、ヨーグルト、軟らかいチーズ | 冷蔵温度を外れた時間を確認 |
| 調理済み食品 | 惣菜、作り置き、弁当 | 見た目だけで残さない |
| 冷凍食品 | 肉、魚、アイス、冷凍惣菜 | 氷の結晶・温度・完全解凍を確認 |
日本の家庭向け公的資料は、少しでも怪しい食品を思い切って捨てるよう案内しています。
乳幼児、高齢者、妊婦、免疫機能が低下している人が食べる食品は、さらに慎重に判断します。
迷った食品を捨てる損失より、食中毒で体調を崩す損失の方が大きいです。
停電に備える強力保冷剤・クーラーボックス・冷蔵庫用温度計

| グッズ | 役割 | 選ぶポイント | 普段の置き場 |
|---|---|---|---|
| 強力保冷剤 | 冷蔵室とクーラーボックスを冷やす | ハードは耐久、ソフトは隙間へ入れやすい | 冷凍庫 |
| クーラーボックス | 傷みやすい食品を一時退避 | ハードは長時間、ソフトは収納性 | すぐ取り出せる場所 |
| 冷蔵庫用温度計 | 庫内温度を数値で確認 | 冷蔵・冷凍対応、見やすい表示 | 冷蔵室・冷凍室 |
計画停電や台風が予告されている時は、2〜3日前から冷凍庫を低温設定へ切り替え、保冷剤を凍らせます。
冷蔵庫の中身をスマホで撮影しておくと、停電後に扉を開けず在庫を確認できます。
- 停電時に使う保冷剤をあらかじめ凍らせておく
- クーラーボックスを食品以外で埋めない
- 温度計の位置を扉側ではなく庫内中央へ置く
- 家族が食べる非常食を別に備蓄する
停電したら開けない。復旧後は温度と時間で判断する。
この2点だけでも、食品ロスと食中毒の両方を減らせます。
台風や大雨では、停電と同時に玄関から浸水する場合があります。水が入ってからでは土のうを作れません。
life-supports.co.jp