まず最初に、ハッキリ言っておきましょう。
「SNS」は英語ではありません。
厳密に言えば、Social Networking Serviceという英語表現の略語として意味は通じる――はずなのですが、
実際にはネイティブスピーカーの会話や文章では使われていないんです。
たとえばアメリカやカナダ、イギリスで「SNS」という言葉を使っても、
帰ってくる反応はだいたいこうです:
“You mean… like Instagram or Facebook?”
つまり、「SNSって何のこと?」と一度“翻訳”されないと通じない。
それくらい、「SNS」は英語としての自然な表現ではないんです。
SNSでバズる英文を知りたい人はこちら 大量の例文掲載中!
なぜ日本だけで「SNS」という英語が流行したのか?

れは日本のメディアとIT業界が「Social Networking Service」という言葉を直訳・定着させたためです。
2000年代初頭、mixiやGREEの登場とともにこの用語が普及し、「SNS」という略語が便利に使われるようになりました。
一方で英語圏では、Facebook, MySpace, Twitterといった個別プラットフォームが浸透していたため、
包括的な呼び方は「Social Media」で統一されていきました。
ネイティブに「SNS?」と聞いても通じない理由

日本では「SNS」という言葉が会話でもニュースでも当たり前のように使われています。
しかし、英語圏で「SNS」と言っても、ネイティブにはほぼ通じません。
その理由は、彼らの“言語感覚”に「SNS」という略語が存在しないからです。
英語圏での正しい言い方は?
ネイティブが使うのは、主に以下の表現です。
- Social Media(最も一般的。Facebook, Instagram, Xなどを総称する時に使う)
- Social Media Platform(s)(ややフォーマル)
- on Instagram / on TikTok / on Facebook(具体的なプラットフォーム名で表す)
つまり、日本人が言う「SNS投稿」は、英語ではこう言います。
- ✕ I posted on SNS.
- ◎ I posted on social media.
- ◎ I posted on Instagram.
実際に通じない例
僕自身、昔ニューヨークでホームステイしていた時に、
“Do you use SNS a lot?”
と聞いたら、ホストファミリーは困った顔で、
“Do I use what?”
と返してきました。言い直して“Social Media”と言った瞬間に、
“Oh, you mean Instagram and stuff!”
とすぐ理解されたんです。
つまり「SNS」は、日本人の中だけで共有されている“カタカナの幻”なんです。
正しくはこう言う!Social Mediaとその派生表現一覧
日本語の言い回し | ネイティブが使う英語 |
---|---|
SNS投稿 | a post on social media / an Instagram post |
SNSをやっている | I’m on social media. |
SNSで見た | I saw it on social media. |
SNSで話題に | It’s trending on social media. |
SNS映えする写真 | a photo that looks great on Instagram |
プラットフォーム別の使い方
プラットフォーム | よく使う英語表現 |
---|---|
on Insta / I posted a reel. | |
TikTok | I uploaded a TikTok. |
X (旧Twitter) | I tweeted / I reposted it. |
on Facebook / shared a memory. | |
YouTube | I uploaded a video / I subscribed to your channel. |
略語にも注意
- SM → 通じない or 誤解されやすい(性的な意味で受け取られることも)
- SNS → ほぼ通じない(非英語圏特有)

たとえば日本に滞在したことのある外国人は、SNSと言えば通じることが多いのですが、日本で当たり前のように使われている、SNSという語句は伝わらないのです。
つまり、「省略したくなる気持ち」こそ危険!
英語では略語よりも「文脈の自然さ」が重視されるのです。
通じない和製英語は他にもある!要注意フレーズ10選
「SNS」だけじゃありません。
日本人が日常的に使っている**“英語っぽい言葉”の中には、実は英語圏で通じない和製英語**がたくさんあります。
ここでは、実際にネイティブが「???」となる確率が高いフレーズを10個厳選して紹介します。
和製英語 | 正しい英語表現 |
---|---|
SNS | social media |
OL | female office worker |
salaryman | office worker |
baby car | stroller |
mansion | apartment / condo |
gas stand | gas station |
drink bar | drink station |
consent | outlet / power socket |
morning call | wake-up call |
cooler | air conditioner |
free size | one size fits all |
key holder | keychain |
paper driver | unpracticed driver |
sharp pencil | mechanical pencil |
aircon | air conditioner |
live house | music venue / club |
front | reception desk |
coin laundry | laundromat |
word processor | computer / laptop |
service area | rest stop / rest area |
my pace | do things at one’s own pace (not idiomatic) |
auto bike | motorcycle |
car navigation | GPS / navigation system |
skinship | physical affection / closeness |
fighting! | good luck! / do your best! |



実はSNSという英語だけでなく他にも通じない英語は色々あるんですね。
和製英語の怖いところ
「なんとなく英語っぽいから通じるでしょ?」という油断が一番危ない。
ネイティブに伝えたいと思って使った言葉が、
実は意味が違ったり、下手をすると誤解や笑いのタネになることもあります。
特にビジネスや海外旅行中の会話では、「それ、通じるのか?」を常に意識しておきたいところです。
僕が“SNS”と言ってポカンとされた英語体験談


これは実話です。
僕が英語を独学でゴリゴリやってた時期に、カナダ・トロントでホームステイをしていたことがありました。
ホストファミリーと夕食後にリビングで雑談してたとき、僕は何気なくこう言ったんです。
“Do you use SNS a lot?”
ホストマザーの顔が、一瞬フリーズ。
困ったような顔でこう聞き返されました。
“SNS? What’s that?”
え?SNSって普通に通じると思ってたから、こっちが逆に動揺。
慌てて、
“You know, like Instagram and Twitter?”
と言い直した瞬間、
“Ohhh, social media! Yeah, I do.”
とようやく通じました。
これが“通じない英語”のリアル
当時、TOEICでは800点超えてたんですよ。
でも、「ネイティブが実際に使う表現」と「日本で学ぶ英語」は違う次元にあるって痛感しました。
文法や単語を知ってても、文化的背景がズレると意思疎通できない。
それ以降、僕は「通じる英語」「使われてる英語」に徹底的にこだわるようになりました。
なぜ日本では「SNS」が定着したのか?メディアと翻訳の影響
実は、「SNS」という英語がここまで日本で広まった理由。
それには、メディア戦略と翻訳文化のクセが深く関わっています。
原因①メディアの“横並び用語”文化
004年頃、日本でmixi(ミクシィ)が登場したとき、
それを紹介するテレビや新聞、雑誌がこぞって「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」という言葉を使い始めました。
まだ存在していたMIXI…


理由は単純。「横文字で新しい感じがして、なんかITっぽいから」。
一度メディアが使い始めると、それが“正解っぽく”見えるのが日本の風潮。
TwitterやFacebookが日本に上陸したときも、既に「SNS」という枠が出来上がっていたため、そのまま流用されて定着したというわけです。
原因②翻訳における“直訳癖”
日本では、「Social Networking Service」という英語を機械的にそのまま訳す傾向があります。
でも、ネイティブの英語はそうじゃない。
彼らは意味より使われ方や文脈を優先します。
日本:語義重視 → Social Networking Service(略してSNS)
英語圏:使われ方重視 → Social Media / Facebook / Instagram
つまり、「日本語的な英語理解」がそのまま社会に流通しちゃったんですね。
このように、「SNS」は決して間違いではないけど、通じない孤立した表現になってしまったのです。
では、どうすればこのようなズレを防げるのか?
英語=英単語の暗記じゃない
英語を学ぶということは、単語を知ることじゃない。
「どう使われているか」を知ること。
言い換えれば、「文化とセットで覚えるのが英語」ということです。
「SNS」はただの例にすぎません。
salaryman、mansion、morning call……
カタカナで見慣れた言葉ほど、実は誤解される危険ゾーンにあります。
英語勉強の根本にあること
正直、僕も昔は「SNS」って言えば世界共通語だと思ってました。
でも、それが通じなかった時のあの微妙な空気が、僕の英語観を根底から変えた。
それ以来、僕が意識しているのは「ネイティブがどう言うか?」をベースに英語を組み立てること。
心理学で言うところの相手の認知”を中心にした学習法ですね。
最後に伝えたいこと
カタカナ英語は悪じゃない。
でも、それが「世界共通の表現」だと思い込んでしまうのは危険です。
大切なのは、「この言葉、海外で通じるのか?」と一度立ち止まって考えること。
それだけで、英語力はひとつ上のフェーズに上がります。
コメント