「寝ている間に自動でお金が入る」——そんな言葉に、あなたはどれほど心を揺さぶられましたか?
FXのEA(エキスパートアドバイザー)に手を出した人の多くが、同じ道をたどります。
最初は「月5万円くらいなら楽に稼げる」と思って、無料EAをダウンロード。
1週間後、口座が減っていることに気づく。そして「なんでだ?」と困惑。次に「もっと良いEAを探そう」と、有料の「勝率90%」と謳う商品に手を出す。
そして、また減る。そしてまた探す。その繰り返しで、気づけば100万円以上を溶かしていた——そんな話を、僕は英会話スクールを辞めてから、たくさん見てきました。
EAは魔法じゃない。ブレーキのない車を、信号のない高速道路で走らせるようなものです。
でも、ちゃんと仕組みを知れば、EAはあなたの「副業の武器」になります。
今日は、誰も教えてくれない「本当に使える知識」を、ひとつずつ丁寧に解説します。
EAの正体:「自動売買」は単なる「if文の集まり」
EAとは、MetaTrader4(MT4)やMetaTrader5(MT5)というプラットフォーム上で動く、小さなプログラムです。
その中身は、たったの「条件分岐」の羅列。
例えば:
- もし5日移動平均線が25日移動平均線を上抜けたら、買い注文を出す
- もし価格が100pips下がったら、損切りを発動する
- もし1日で3回取引したら、それ以上は取引を停止する
これだけです。
「AIが学習して勝てるようになる」なんて話は、ほとんどが嘘です。現実のEAは、人間が書いたルールを、機械がただ忠実に実行しているだけ。
だからこそ、「誰が」「何のルールで」作ったのかが、極めて重要になります。
ラッシー
さらに、多くの人が見落としているのが「VPS」の存在です。
EAは、あなたのパソコンが起動している間だけ動きます。
パソコンを閉じたら、EAも停止。夜中に大ニュースが出て、価格が急落しても、気づかないまま口座がゼロになる——そんなリスクが、常にあります。
24時間稼働を本気で目指すなら、VPS(仮想プライベートサーバー)は必須です。月額500円〜1000円の費用ですが、これがないと、EAは「動くふり」をしているだけです。
リスク管理の鉄則:「2%ルール」を数式で理解する
多くの人がEAを使うとき、最初に間違えるのが「ロット数」の決め方。
「100万円あるから、1ロットでいこう!」
「このEAは勝率が高いから、2ロット張ってみよう!」
こんな感覚でやると、1回の損失で口座が半分になることもあります。
プロのトレーダーは、こう決めます。
「1回のトレードで失う金額は、口座全体の2%以内」
これが「2%ルール」。世界中のプロが共通して守っている、生存のためのルールです。
では、実際にどう計算するか?
- 口座資金:1,000,000円
- リスク許容率:2% → 損失許容額は20,000円
- 損切り幅:20pips
- 1pipsの価値:1ロットで1,000円(国内ブローカー基準)
このとき、適正ロット数は:
20,000 ÷ (20 × 1,000) = 1.0ロット
つまり、損切りを20pipsに設定するなら、1ロットが限界です。
これを超えて張ると、数学的に「破産する確率」が急上昇します。
ラッシー
「利益を出す」よりも、「破産しない」こと。これが、EAを使う上で最も重要なマインドです。
バックテストの罠:「綺麗なグラフ」は、ほぼ詐欺
EAを買うとき、必ず見せられるのが「バックテストの結果」。
「過去10年で300%の利益!」「勝率92%!」「最大ドローダウンはわずか3%!」
これ、本当に信じますか?
実は、このグラフの9割以上は、カーブフィッティング(過剰最適化)の結果です。
カーブフィッティングとは、過去のデータに「ぴったり合うように」EAのパラメータをいじくり回すこと。
たとえば、2015年の円高相場でだけ勝てるように、パラメータを調整。その結果、過去のグラフは「右肩上がりの完璧なライン」になります。
でも、そのEAを2024年に実運用したら、1ヶ月で50%損失——そんな話は、日常茶飯事です。
では、どう見分けるか?
信頼できるバックテストの3つのチェックポイント
- プロフィットファクター(PF):1.3〜2.0が正常 3.0以上は怪しい。利益が異常に高い=過去のデータを無理やり合わせている証拠
- 最大ドローダウン(Max DD):20%未満が安全 30%を超えるEAは、1回の暴落で口座が壊れる可能性大
- 取引回数:1,000回以上が目安 数十回の取引で「勝ち」を語るのは、統計的に無意味。サイコロを5回振って「出た目は6ばかり」って言うのと同じ
さらに、「モデリング品質」という数字も見ましょう。
MT4の標準バックテストは、約90%の精度です。でも、TDS(Tick Data Studio)というツールを使えば、99.9%の精度が可能。
「モデリング品質90%」のグラフは、ほとんど意味がありません。99.9%のデータだけを、真剣に見てください。
ラッシー
「勝率」より「期待値」を見ろ。90%勝ちでも破産する理由
「勝率90%」のEA——これは、本当に魅力的に聞こえますよね?
でも、ここで一つ、衝撃の事実を伝えます。
勝率90%のEAは、1回の負けで、これまでの利益をすべて吹き飛ばす可能性がある。
なぜか?
それは、リスクリワード比率が極端に悪いからです。
たとえば:
- 勝ったときの利益:5pips
- 負けたときの損失:100pips
このEAは、10回に9回は5pipsの利益。でも、1回は100pipsの損失。
10回の取引で、利益は45pips。損失は100pips。つまり、トータルで55pipsの赤字です。
勝率が90%でも、期待値はマイナス。これでは、どんなに長くやっても、必ず破産します。
だから、EAを選ぶときは、「勝率」ではなく「期待値」を確認してください。
期待値の計算式は:
(勝率 × 平均利益)-(敗率 × 平均損失)
これがプラスなら、長期で勝てる可能性があります。
結論:ツールに使われるな、ツールを使いこなせ
EAは、あなたを豊かにするツールではありません。
あなたが、ちゃんとリスク管理とデータの見方を学んでいない限り、EAはただの「自動でお金を溶かす機械」です。
でも、逆に言えば——
あなたが、2%ルールを守り、バックテストの罠を見抜き、期待値を計算できるようになれば、EAはあなたの「副業の強力なパートナー」になります。
僕は、これまでに何百ものEAを見てきました。
その中で、本当に「信頼できる」のは、たったの3つだけ。
なぜなら、それらは全部、
- バックテストのモデリング品質が99.9%
- 最大ドローダウンが15%以下
- フォワードテストが2年以上継続している
- ロット計算済みで、リスク管理が明示されている
——という条件を、すべて満たしていたからです。
あなたが、これからEAを始めるなら、まずは「無料のEA」に手を出さないでください。
代わりに、「正しい知識」を身につけてください。
そして、自分が使うEAが、本当に「信頼できる」かどうか、この記事のチェックリストで、ひとつずつ確認してみてください。
EAは、あなたを救ってくれません。
でも、あなたが「正しい知識」を持っていれば、EAはあなたの味方になります。
よくある質問
本当に無料のEAは使えないんですか?
VPSは絶対に必要ですか?
バックテストのグラフが綺麗すぎるのはなぜ?
勝率90%のEAは本当ですか?
どのくらいの資金で始めればいいですか?
あなたが今、この記事を読んでいるということは、もう「騙されない人」の第一歩を踏み出しているんです。
EAは、誰かが教えてくれるものではありません。
自分で調べて、自分で判断して、自分で守る——その姿勢こそが、本当の「自由」への道です。
一緒に、正しい知識で、しっかり稼いでいきましょう。